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1.配列の設計【手配線で自作キーボードを作る講座】

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この記事は、【手配線で自作キーボードを作る講座】の第1回目です。 そのほかの記事はこちら↓

okayu-moka.hatenablog.com

配列を設計する

自作キーボードを作ろう! となったら、最初にキー配列を決めるのが良いでしょう。 配列によって、キーの数、モデリングの難しさ、ProMicroの個数などが決まってきます。

自作キーボードの配列は作る人によって様々です。 ただ、ある程度パターンがありますので、いくつか設計のためのパターンを紹介していきます。

設計作業自体は、3DCADやイラストソフトが使えるなら、それらで簡単な図を描いておくのが良いと思います。なければ紙と鉛筆でも十分です。 最終的には3DCADでモデルを作りながら試行錯誤するので、なんとなくのイメージを描いておくだけで大丈夫です。

分割型か、一体型か

自作キーボードには左右分割キーボードが多い印象があります。 実際一度左右分割キーボードになれると、使用時の姿勢が非常に楽で、通常のキーボードが窮屈に感じます。一度は体験してみることをお勧めします。 分割キーボードにする場合、それぞれのキーボードを接続するためのケーブル(一般的には3.5mmのオーディオケーブル)が必要になります。また、ProMicroも分割台数分必要になります。

もちろん、通常のキーボードと同じように、すべてのキーが1つの筐体に搭載されている自作キーボードも作ることができます。 そのような一体型のキーボードの場合、オーディオケーブルは必要ありませんが、筐体のサイズが大きくなるため、家庭用の3Dプリンターでは印刷が難しい場合があります。3Dプリントサービスに発注する場合でも、規定のサイズ内に収まっているか確認しておいたほうが良いでしょう。 ProMicroは基本的には1台でOKですが、キー数が81を超える場合はProMicroを2台使うか、IOエキスパンダーなどが必要になります。

  • 分割型
    • メリット
      • 自然な姿勢で使用できる(肩こり対策になる)
      • 1つの筐体のサイズが小さいので、家庭用3Dプリンターでも十分プリントできる
    • デメリット
      • 接続用のケーブルと、接続用の端子が必要
      • ProMicroが複数個必要
  • 一体型
    • メリット
      • 分割型より作成が簡単
      • ケーブル等が不要
      • ProMicroが1台で済む(81キーまでは。それを超える場合は2台必要)
    • デメリット
      • サイズが大きいと家庭用3Dプリンターではプリントできない
        • モデリング段階で2つに分割しておき、後から接着するなどの方法はある

Ortholinear Layout(格子配列、直交配列)か、Staggered Layoutか、それ以外か

キー配列は大まかに分類して以下の3つに分けられます。

Ortholinear Layout

格子配列、直交配列と呼ばれるものです。 その名の通り、キーがすべて碁盤のようにきれいに並んでいるものです。

参考:Ortholinear - Self-Made Keyboards in Japan

キーボードがコンパクトになるというメリットがあります。 また、単純に格子に並べるだけなので、モデルの作成なども簡単です。

Staggered Layout

通常のキーボードのように、キーが少しズレているようなレイアウトです。 また、横ではなく縦方向にズレているようなものもあります。

参考:staggered layout - Self-Made Keyboards in Japan

横方向にズレているレイアウトは一般的なキーボードと同じような使用感にできるため、乗り換えが容易です。 また、自作キーボードの特殊な配列に慣れてしまって通常のキーボードが使えない、という事態も避けられます。(とはいっても慣れると割と両方使えるようになります。)

縦方向にズレている配列は、人間の手の形あわせた自然なズレになり、キーが押しやすくなるという狙いがあります。

それ以外

上記2パターンに該当しないようなものとして、立体的な配列や、Ortholinear と Staggered を組み合わせたものなどがあります。 結局は「自分が押しやすいと思う配列」を実現するため、あまり枠に囚われず自由に配置していいと思います。

平面の配列か、立体の配列か

一般的なキーボードは、平面にずらっとキーが並んでいます。 自作キーボードでは、平面に並べるという制約はありませんので、手の形に合わせた立体的な配列を採用しているものもあります。

平面的なキー配列にする場合、アクリル板などを用いて作成することができます。もちろん3Dプリンターを用いて作成することもできます。

立体的な配列にする場合、3Dプリンターのメリットを最大限に生かすことができます。 しかし立体的に配置する場合、キーピッチ(キーとキーの距離)の計算が難しかったり、 あまりに複雑な形状は家庭用3Dプリンターでは印刷が難しいなどの問題もあります。 (3Dプリントサービスでプリントする場合は、複雑な形状でも問題ないです。)

キーの割り当て

キーの位置だけではなく「どのキーにどの文字を割り当てるか」もある程度考えておくとよいでしょう。 使いながら変更していく部分ですが、不要だと思うキーは最初から無くしてしまうという手もあります。

一般的なCtrlの位置にキーがない配列や、CapsLockの位置がCtrlになっている配列が多いようです。

今回作成する自作キーボードの配列

今回作成する自作キーボードは以下のような配列にします。 (要はErgo42のクローンです)

  • 左右分割型
  • 平面の格子配列
  • 縦4列、横7列

とりあえず平面に3DCADで配置してみました。これを草案として進めていきます。

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