この記事は、【手配線で自作キーボードを作る講座】の第7回目です。 そのほかの記事はこちら↓
キーマトリックスについて
自作キーボードのファームウェアとしてよく採用される QMK Firmware - An open source firmware for AVR and ARM based keyboards は、キーマトリックスをスキャンして入力を検知します。
キーマトリックスは、以下のような回路のことを言います。
このように、格子状にスイッチを配線することで、どのスイッチが押されたかを検出することができます。
また、キーの同時押しに対応させるため、キースイッチと同じ数だけのダイオードが必要になります。
キーマトリックスの仕組みや、なぜダイオードが必要なのかについては、 ゆかりさん(id:eucalyn)の記事が非常に参考になります。 一度は目を通しておくと、理解が深まって良いでしょう。
ほかには、英語ですがQMK Firmwareの手配線ガイドも参考になります。
どうやって配線したらいいのかわからない!! という方は、 この記事の最後に配線完了後の写真がありますので、そちらを参考にしてみてください。 回路図で考えるよりも、まだわかりやすいと思います。
配線の例
では、4x7キーボードを実際に配線していきます。
先に回路図を書いておく
回路図は、簡単なものでいいので作成しておくと良いでしょう。 手書きでもなんでもよいので、作業するときに参考にするものがあったほうが良いです。
今回は以下の回路図を BSch3Vで作成しました。これを見ながら配線していきます。
ただ、この回路図をちゃんと書くためには、QMK Firmwareの設定等も考慮する必要があります。 現時点ではまだそこまで考慮できてないので、どのピンに配線するかどうかについては未定のままで大丈夫です。
横方向の配線
まずは、横方向(行方向)の配線をしていきます。
横方向は、ダイオードをつなぐ必要があります。 ダイオードは電流の流れる向きが決まっているため、つける向きが逆だと正常に動かなくなってしまいます。 十分注意してください。
補足:
すべてのダイオードの向きがそろってさえいれば、QMK Firmwareの設定で向きを指定できます。 1つだけ逆を向いていたりなどしないようにだけ注意してください。
また、QMK Firmwareのデフォルトでは "COL2ROW" つまり列方向から行方向へ電流を流す設定になっています。 今回はCOL2ROWで動作するように設計しています。
次の写真のように、ダイオードの足を90度曲げて、 キースイッチのピンとの接触面がなるべく広くなるようにすると、はんだ付けしやすいでしょう。
はんだ付けの際、はんだこてが筐体に接触しないように注意します。PLAは70度程度で溶け始めるので、はんだこてであっさり溶けます。
また、はんだ付けの際は、先にピン側にはんだを多めに盛り、そのはんだで利用してダイオードを付けるのがやり易いと思います。
この時、なるべく配線位置が低くなるよう(スイッチに近くなるよう)にしてください。
この後に縦方向の配線をしますが、縦方向の配線に使うスズメッキ線は絶縁被膜などがついていません。 縦横の配線が接触しないように、なるべく低い位置で配線するようにしてください。
ダイオード同士のはんだ付けは、線同士なので多少難しいですが、接触面が大きくなるように気を付けながらはんだ付けするとうまくいくでしょう。 やりづらいときは、マスキングテープやカプトンテープなどで補助してやると、作業しやすくなります。
横方向の配線が一通り終わると、こんな感じです。
縦方向の配線
縦方向はダイオードが必要ありませんので、スズメッキ線で配線します。
あらかじめ必要な長さに切って作業しましょう。
すでに述べたように、すでに配線した横方向の配線(ダイオード)と接触しないように注意しながらはんだ付けしていきます。
ピンセットなどを使い、やけどに注意しながら作業してください。
縦方向が終わったら、片手分完了です!
もう片手分、頑張りましょう。
スイッチ部分の配線完了後
両手分のはんだ付けをして、キースイッチ部分の配線が完了した状態となりました。
次回は、ProMicroとつなげていく……前に、ちょっとはんだ付けは小休憩して、 QMK Firmwareの準備をしていきます。